「3Dプリンタで10時間、24時間ぶっ続けで印刷したら、今月の電気代がとんでもないことになるのでは…?」
プリンタを購入したばかりの方や、これから導入を検討している方が必ず心配するのが「3Dプリンタの電気代(消費電力)」です。電源ユニットには「350W」や「1000W」といった大きな数字が書かれているため、エアコンや電子レンジのように電気を食うイメージを持たれがちです。
結論から言うと、「一般的なPLA造形の平均消費電力は約80W〜130W程度であり、1時間あたりの電気代はわずか約2.5円〜4円(24時間連続稼働させても1日約70円〜95円)」です。
この記事では、素材別のリアルな電気代と、造形物1個あたりのトータル原価の計算式を解説します。
1. なぜ定格1000Wのプリンタでも1時間3円程度で済むのか?
最新の高速3Dプリンタは、ベッドを素早く温めるために最大800W〜1000W以上のヒーターを搭載しています。しかし、最大電力を消費するのは「最初の2〜3分間の昇温時だけ」です。
一度目標温度に達した後は、温度を維持するためにヒーターが細かくON/OFFを繰り返す(PID制御)ため、造形中の平均消費電力は定格の10分の1〜5分の1程度まで大幅に下がります。
2. 素材・ベッド温度別の「1時間あたり・24時間あたり」電気代比較
※電力料金単価を 1kWh = 31円(全国家庭平均目安)として算出したシミュレーションです。
| 造形モード・素材 | ベッド温度目安 | 造形中の平均消費電力 | 1時間あたりの電気代 | 24時間連続造形の電気代 |
|---|---|---|---|---|
| PLA(クールプレート / 低温ベッド) | 35 〜 45 ℃ | 約 50 〜 80 W | 約 1.6 〜 2.5 円 / 時間 | 約 38 〜 60 円 / 日 |
| PLA(標準テクスチャードPEI) | 55 〜 65 ℃ | 約 90 〜 130 W | 約 2.8 〜 4.0 円 / 時間 | 約 67 〜 96 円 / 日 |
| PETG | 70 〜 80 ℃ | 約 120 〜 160 W | 約 3.7 〜 5.0 円 / 時間 | 約 89 〜 120 円 / 日 |
| ABS / ASA(高温ベッド) | 95 〜 105 ℃ | 約 180 〜 260 W | 約 5.6 〜 8.1 円 / 時間 | 約 134 〜 194 円 / 日 |
| 光造形(LCDプリンタ) | ヒーターなし | 約 40 〜 70 W | 約 1.2 〜 2.2 円 / 時間 | 約 30 〜 53 円 / 日 |
電気代の8割は「ヒートベッドの温度」で決まる!
ノズルを220℃に保つヒーターは小さな金属ブロックを温めるだけなので約30〜40Wしか使いません。一方、面積の広い「ヒートベッド」は放熱が大きいため、ベッド温度が高いほど消費電力が増えます。3. 造形物1個あたりの「リアルな原価」の計算式
3Dプリントしたパーツ1個の原価は、以下の式で簡単に計算できます。
造形物1個の原価 =(使用フィラメントg × 1gあたり単価)+(印刷時間h × 1時間あたり電気代)
試算例:重さ100g・印刷時間3時間のデスクオーガナイザーをPLAで出力した場合
このように、3Dプリントのランニングコストの90%以上は「フィラメント代」であり、電気代は全体の10%未満に過ぎません。
したがって、ランニングコストを下げる一番の近道は、電気代を気にして印刷を我慢することではなく、「フィラメントの1kgあたり実質単価をいかに安く抑えるか」にあります。
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